NSTPMTSGテニスブログ

テニスなどなど

コートの話

今年の春に落成式を行い、リニューアルした市営コート。

「別にそんなに細かくなくても…」と思われるかもしれませんが、書かせて頂きます。

4面のテニスコートとクラブハウスで1.7億円で整備されました。費用の半分以上は「スポーツ振興くじ」で助成を受けておりますが、長井市民の税金も使われています。なので長井市民の市営コートなのです。

コートの種類は、「砂入り人工芝コート」と呼ばれるコートで正確には、「積水化学のサンドグラスT19」です。テニスの国際規格で定められた基準をクリアして、ハードコートと同程度のバウンドに設定されています。ちなみに、積水化学には「T19E」というラインナップもあり、こちらはクレーコートと同程度だそうです。(金額が高い)

特徴は、排水性が高く水溜りが出来ません。雨の量にもよりますがコートの表面は人工芝と砂が濡れている程度で雨天でも練習、試合を行うことができます。このメリットがあるため、公式試合を行う運営側は、雨天での日程変更を考える必要がなくなり、予備日のコート手配の心配が軽減されました。これが日本で圧倒的に選ばれた原因です。

もともとオーストラリアで商品化されました。1980年オーストラリアには、砂入り人工芝テニスコートを作る材料が揃っていたのでコストが安かった。天然芝からの過渡期だった。オーストラリア選手が強かった!等で「住友ゴム」が輸入しました。特許が切れた後は、日本では爆発的に類似品が広がり現在に至っています。オムニコートという名前は、オムニ社のテニスコートからついています。

デメリットもあります。砂が移動する為、ブラシで均等を保つ必要があります。均等でないと、プレーヤーは、「滑る」、「引っかかる」。ボールのバウンドは、「弾む」、「弾まない」場所が出てきます。

新しい時期は、誰でも生涯利用できると感じますが、実際は、5〜6年で排水が目詰まりを起こし、人工芝も使っている部分だけ磨耗し、使用しない場所は、砂が固まって苔が生え始めます。

「ご、ご、ごろくねんで!」ビックリです!

1.7億円設備して、ご、ろくねんですか?

排水性が悪くなっても、人工芝が摩耗しても、苔が生えてきても、コートは使えます。

が、何とか、長く使えないものだろうか…  メンテナンスフリーのようで実はそうじゃない!メンテナンスされたコートはどんなコートでも長く使えます。民間で運営されているようなコートは、「コートキーパー」がコートを綺麗に保ちます。市営コートは安価に利用できるかわりに利用後のブラシ掛けは利用者のマナーになります。

クレーコートの欠点を補う目的で普及した砂入り人工芝コートですが、どうも利用者が誤解して利用している部分があります。クレーコートは「土」で砂入り人工芝コートは「特殊調整硅砂」が使われています。つまり「砂」です。コートの入口に人工芝のマットありますね。あのマットの仕事は、「土」をコートに持ち込まないためのものです。スポーツ店に行ってテニスシューズを選ぼうとすると、「オールコート用」と「クレー&オムニコート用」と表記されています。「クレー&オムニコート用」はどちらのコートでも使用が最適化されたシューズです。なので、クレーコートオムニコートコートでは兼用している選手も多いのです。しかし、「土」と「砂」コート表面にあるものは別物です。特に砂入り人工芝コートは、人工的なものであり、「土」を嫌います。「土」は目詰まりを起こし排水性を低下させるからです。コート入口の看板にはテニスシューズを履いてください!程度の注意書きがありますが、クレーコートで履いたシューズでそのまま砂入り人工芝コートに入れば…  理解していない利用者が多ければ多いほど寿命を縮めてしまうのです。

5年後、6年後と自分達が使ってきた結果が出てきます。利用者一人一人アウトソールについた「土」を払ってからコートに入ってもらうと… 毎回、毎月、毎年のメンテナンスをして皆さんの協力のもと丁寧にして頂くと10年はイケるかな…

もうすぐ雪が降ってきます。来春、クレーコートのようにスコップで雪に穴を開けて〜、なんてことしようものなら人工芝は芝目が切れて更に短くなります。長靴についた「土」も持ってくるんだろうな…

春は自然な雪解けを待ってほしいコートなのです。