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テニスなどなど

ボレー

昨夜のレッスンではボレーを1時間。グリップ(コンチネンタル)説明して、「構え」が重要な事を説明しました。テニスでは第3局面で使うショットです。10週で全てのショットを説明する意味ではボレーに時間を取ることは必要なのですが...

バックハンドボレーの「パワーポイント」を覚えたA子さん。苦手と言ってましたが大丈夫です。出来てます。

現在開催されている全米オープンでセリーナ(決勝で大坂選手と対戦します)は果敢にネットに出てボレーをしていると解説されていました。28回ボレーに出て24回ボレーを決めたそうです。成功率85%です。闇雲にボレーに出てはこの成功率にはなりません。ボレーで決まる前のショットが重要になります。ボレーで決めるためには、前のショットをどこにどんな球種のボールを打つか!なのです。

さてボレーですが、ストロークと比べると難易度が数段高いテクニックです。

来週は、ダブルスで使う場面がある「ポーチボレー」とフォアハンドボレー、バックハンドボレーの使う場面での頻度を練習したいと考えています。ちょっとだけになりますが…

難易度が高いというところに戻ります。手にラケットを持っています。テニスですから…  相手から打たれたボールは、ボレーを打つポジションではあまりスピードは減速していません。ストロークはバウンド後、減速したボールを打てるのでテイクバックをする余裕もあり、スイングする事ができます。

相手がボールを打った瞬間の速度を「初速」とします。自分が打つ前の瞬間の相手のボールのスピードを「終速」とします。「初速」イコール「終速」ではありません。空気の抵抗や重力、ボールの質量でボールは地面へ落下していきます。そしてバウンドします。テニスコートのサーフェイス(アスファルトのようなハードコート、人工芝に砂が入っているサンドグラスコート、土のクレーコート)によってバウンドの抵抗が違いますが、バウンドすることによって大きく減速します。

このことは具体的に「テクニカル・テニス」という本で、1/2以下に減速すると記載されています。

例えばの話をします。

時速100キロの「初速」のボールは、バウンド前には時速75キロに減速し、バウンド時の摩擦によって更に減速して跳ね上がります。そして「終速」場所では、時速50キロ以下になっているわけです。ツーバウンド前のギリギリになるほど更に25%減速していきます。

ではボレーの位置では?

まだ時速87.5キロです。自動車に乗っている時の時速45キロと時速87キロでは通り過ぎる景色の違いは感じる事が出来ると思います。倍のスピードです。その違いがあるためにボレーではラケット引かない。早く弾道の延長上にラケットをセットする。などの説明はします。しかし、ラケットの面は広いように見えますが、気持ちよく飛んでくれる場所(パワーポイント)はボール1つ分ぐらいです。手出しによる練習(ボールの「終速」が限りなく時速0キロ、落下するボールになるため、パワーポイントで捉えてグリップをグッと握ればボールは弾いてくれます)でボレーができても、スピードアップしているボールでのボレーは、弾道が予測できないので、パワーポイントに当たらない。「ガシャ」になるから自分は上手くない=苦手と感じてしまいます。

それでそれで、そんな難しいボレーですが、自主練として有効な練習があります。

第1段階

フォアハンドボレーは「右手でキャッチ」バックハンドボレーは「ジャイアント馬場さんの水平チョップを右手の甲を地面と垂直にして手の甲に当ててみる」

第2段階

コンチネンタルグリップの握り方でグリップよりも短く、スロート部分を持って、打つラケット面を少し上に向けた状態にします。左手は、フォアハンドボレー時はラケット面と逆ハの字にして構え、バックハンドボレー時は左手のひらはラケット面の「パワーポイント」の後ろに添えて構え、構えたところから10cm前に動かしてインパクトします。

ここまででフォームは完成します。

第3段階

次に手の長さ+ラケットの「パワーポイント」までの長さ分の間隔調整。自分の手のひらを見てみてください。じっと… 手のひらを見ているということは、手のひらは上を向いているはずです。ラケットを持つ時のように握るとラケットと前腕には角度ができます。その角度は第2段階の角度なので、ボールを打つ「パワーポイント」はラケットの長さが出た分だけ「上」に上がります。短く持って練習して普通に持ち替えたら自分から離れた位置になるというのは誤解です。長くなったから「遠い」ではないのです。そのイメージでいくと「ラケット面が寝る」学習になってしまいます。「ラケット面は寝ない」のです。間違わないようにお願いします。

 

あとは、ボールの軌道を線ととらえてイメージできる眼を養う。反射神経を養う。「ガシャ」したって「相手コートに入ればオーケーじゃん!」的なおおまかな気持ちから入って完璧は求めない!神経質になりすぎない。楽しく無くなります。

 

近年のテニスは、サーブアンドボレーで積極的にポイントを取る選手は少なくなりました。ラケットの進化でプレイスタイルが変わってきたのです。フェデラーは「セイバー」という戦法でリターン&ボレーを見せます。一時期話題になり、テニス雑誌でも取り上げられました。奇襲戦法の1つのため二年前と比べると使用頻度も落ちました。テニスを研究している人たちの論文では、年少から始めた大学生のプレーヤーでもボレーは難しいと回答しています。特にバックハンドボレーは簡単ではないと回答しています。一万時間以上の練習をしてきた大学生の選手レベルでも難しいと回答するのです。そんなストロークより難しいボレー、これから同じ練習を何時間もしなくてはなりません。生徒さんが飽きないように、レッスンでは10分程度で練習メニューに変化を持たせなくてはと考えてしまいがちですが、第1局面と第2局面が出来なければ第3局面にたどり着けません。近年の研究では、達成型の練習方法がテクニックの習得には有効である事がいわれています。簡単に言えば「出来るまでやる」事なのです。週一回のレッスンで達成型の練習方法は無理に近いと思われます。どうしても第1局面と第2局面の練習に時間を費やします。ですのでダブルスの試合する前に、「ちょっとだけ」にボレーはならざる得ないのです。

私的な事ですが、私はボレーが好きです!プレイスタイルもサービスアンドボレー型のプレーヤーです。果敢にネットに詰めていきます。ボレーで決まればカッコいいかな?って自分に勘違いも入ります。左脚にシビレがあるので左後ろに走るのが苦手になりました。それでも果敢にボレーに行きます。でも現在のプレーヤーはダブルスでは雁行陣だし、シングルスでは積極的にボレーまで行きません。逆にパッシングショット打たれてしまいます。統計的なデータです。私のボレーが好きは単なるコダワリでディープなもので将来ボレーが見直される日がくる!ことはないでしょう。が、第1局面で時間と空間を相手から奪えた時、初めてボレーが有効打に出来ると思います。必死にボレーだけを覚える必要もないし、出来ないからと悩む必要もないと私は思います。