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テニスなどなど

疑問に詳しく答える、サービスの答え

レッスンの最後にA子さんから「コーチの教えるサービスと事務局A男さんの教えるサービスは、違うことを言っている!」

とのこと。迷っているから疑問も出ます。どちらが本当なのかという質問を受けました。大変的確な質問です。

違うこと言っていること気づいて、質問をして頂くことは私にとって「うれしいことです」なぜなら、違うことをわかってもらったから。簡単に説明しましたが、簡単な説明では済まないことなので、ここを開設した意味がやっと出てきました。😄

サービスには大きく分けて3つの教え方があります。私も2つは使い分けています。今年度はその1つを一度だけ説明してレッスンに取り入れましたが、そのほかのレッスン時間では従来通りに戻しています。「目を閉じて〜」のレッスンは、従来通りの教え方です。

まず、1つの教え方の基本は、生徒さん皆さんが、「打ちやすさ」を求めたものです。これは生徒さん各自のグリップや、力が入りやすい場所に対してトスを上げて、「気持ちよく」サービスを打ってもらうものです。このポイントは2つ、トスを正確に上げる。スイングを止めず最後まで振り抜く。だけです。これは成人してからテニスを始めた方に対して、テニス教則本でも勧めている教え方です。楽しく永くテニスをして頂きたい、そのため、難しいことはを排除した考え方です。初歩の初歩だと考えてください。「自動化」がしやすいものです。

そして今期、一度だけ詳しく説明しましたが、習得には大変時間がかかるが、練習試合でサービスがコートに入らず悩んでいる生徒さんに対して、「緊張していてもサービスがコートの中に入る軌道になるサービス」です。

「気持ちよく打つサービス」と「コートに入る軌道になるサービス」は教え方に違いがあり、成人してからテニスを始めた生徒さんには「コートに入る軌道になるサービス」は難しく、最初から教えると挫折してやめてしまう生徒さんが多くなり、テニスという敷居を高くしてしまいます。しかし上達の過程で「気持ちよく打つサービス」には、緊張するとダブルフォルトを量産してしまうという欠点が出てきます。そこで今期は、サービス以外でも、テニスの科学的な理論に沿ったものに修正していくことをレッスンで取り入れています。

テイクバックの話の最後の方に、テニスは「こうだから!」を今期はサービスに関して教えていると書いています。この「こうだから!」のサービスは、トス自体自然体で打てるトスではありません。

亜細亜大学のテニス部の監督、堀内昌一さん。日本で世界のサービスを解説できる第一人者です。唯一の人でもあります。著書もたくさんあります。ネットで検索してみてください。「サービスが上手いプロプレーヤーは、動きに共通したものがある。それがサービスを安定させるコツです。」でその理論を選手に実践して全日本大学王座を男子2回、女子3回優勝に導きました。堀内監督の著書の中の「はじめに」という文章の中に、「ダメサービス」として言い切っているものが「気持ちよく打つサービス」です。そのため、日本テニス協会教則本で説明している成人してから始めた生徒さんには、「気持ちよく打つサービス」を教えて永くテニスを続けてもらうという部分が、「コートに入らなきゃあ、試合に負けるよね。」「最初からコートに入るサービスを教えた方が良い」という勝負のための打ち方になり、ここで違いがでるのです。

堀内監督の著書を、引用しますと、

ある学生の話です。インターハイベスト16という実績を持って入部してきたこの学生。実は驚くほどサービス力が低く、ダブルフォルトは毎ゲーム1回は当たり前。ひどい時には3回もやることがあり、それでもこれまではある程度勝ち上がることができたわけですが、逆を言えば、それ以上勝ち上がれない原因がそこにありました。イースタングリップで握り、正面を向いて打つサービスは、回転がかからないため、試合でチョークしたときほど、ダブルフォルトする傾向があります。彼女の言い分はこうでした。「プレッシャーがかかるとダブルフォルトをしてしまう」と。彼女を以前指導していたコーチに話を聞いても、「彼女は精神的に弱くて、よくダブルフォルトををする」と、同じようなことを言いました。そうではないでしょう。精神的に弱いからダブルフォルトをするのではなく、そういう技術だからダブルフォルトをするのです。そこを勘違いしないでください。ダブルフォルトをしない技術を身につけるしか、ほかありません。ダブルフォルトをしないサービスを身につけるには、これまでのサービスを変えるしかなく、同じ問題を抱える学生たちは当初、私の指導に泣いていました。グリップを変えれば今まで積み上げてきたものが崩れますから。試合に勝てなくなり、ライバルに負け、自信をなくした時期もありました。〜〜。小手先の修正をしたところで、やはりいつか壁にぶつかるのです。〜〜。だから本書を読んでくださる皆さんにも同じように指導します。一度覚えた技術を変えるには時間がかかります。。サービスはやった分だけ必ず良くなります。みんな変われます。皆さんも必ず身に付けることができます。

省略した部分は〜〜にしていますが、これを20年以上続けています。月刊誌「テニスマガジン」では毎月堀内監督の考え方が掲載されています。県内であればジュニア育成に力を入れている「朝日クラブ」のサービス指導方法がこれです。一年に一度程度、お手伝いに行っているのですが、堀内監督の指導法を実践できる指導者は、朝日クラブにもいません。数年前に最初に朝日クラブでサービスのデモを行った時に、歌丸監督が、スクラップブックを取り出して、堀内監督の指導方法をデモできる指導者が地元にいた事に驚かれました。自分は教えられないので「ジュニアにはこのスクラップブックで説明している」と…   最初の方でサービスには3つの教え方があると説明していますが、ここで生徒さんには教えていない3つ目の指導方法、これは日本のコートサーフェイスの事情が大きく関わってきていて砂入り人工芝で優位に展開できるように、「スライスサービス」を教える指導方法。「スライスサービス」はイースタングリップでも簡単に打てます。弾道が低くバウンドした後も滑るのでリターン側は、ボールを持ち上げて打つ必要があるため、砂入り人工芝に限って言えば有利なサービスとなり、勝つことが目的のジュニアには「スライスサービス」を教えるクラブは多いです。簡単だし… しかし、ダブルフォルトしないためには、極端に球速を遅くしないといけないし、スイングに加減が必要にもなります。結果、ダブルフォルトは解消できません。

つまり、ダブルフォルトをしないサービスは、堀内監督の「ナチュラルスピン」サービスということになります。「こうだから!」のサービスです。習得しやすさから順に並べると、「気持ちよく打つサービス」、「スライスサービス」、学生でも時間がかかるぐらい習得レベルがさらに上の「ナチュラルスピン」サービスとなります。堀内監督は、ジュニアと一般成人レベルを問わず定期的に「サービス」だけの講習会も開いていて、毎回多数の参加者が集まっています。それだけ、サービスはダブルフォルトで皆さん悩まされているのです。昨年卒業した次男の同期では、○松選手以外は堀内監督にダメ出しをされ、グリップ、フォームを変えられています。次男もトスの高さが高すぎることとクローズドスタンスになっていないことため、コースが読まれやすいことを注意されています。

では、その「ナチュラルスピン」サービスを指導する場合の注意事項を書いてみます。

クローズドスタンス

グリップは団扇を使って教える

手首は後ろに折らない。手首の動きは、時計回りと前に折る動作を3D

左足荷重から右足荷重に移行する中間の位置でラケットと左手を両側に広げ始める。

両手が腰の高さまで広げたら、左足荷重に移行する。

ラケットを持つ手は時差を置いて肘支点(90度)で前に折って上げる。左足荷重なった膝を曲げて重心を落とす。

左手は目の位置より上でトスアップを始める。

トスの高さは、身長+ラケットの長さ+20cm

右耳から30cm離れた位置にグリップがある。

スイングのきっかけは、膝の伸ばし→左肩と右肩の高さを入れ替える。この時、入れ替えをスムーズにするために、上げた左手をL字に下げる。これは右肩が正面に向く動作の中にある。

スイング軌道は、アドバンテージコートでもデュースコートでも右斜め上へ。

野球のピッチングは投球方向と腕の振りが一緒だが、テニスのサービスは打球方向とスイング方向に差がある=回転がかかる。

となります。やっぱり文字だけだと「なんのこっちゃ!」ですね。